第34回「全国高校生読書体験記コンクール」入賞者発表
 このコンクールは、公益財団法人一ツ橋文芸教育振興会が、各地の新聞社のご協力をいただき「高校生のための文化講演会」とともに毎年実施しているもので、多くの高校生ができるだけたくさんの本と出会うきっかけをつくることを目的としています。第34回は、全国47都道府県から、402校の参加があり、応募作品は、114,822編となりました。
 選考にあたっては、まずそれぞれの高校において各高校が5編を選出し、各都道府県ごとに集計後、後援の新聞社が選定された選考委員により優良賞と入選作が選ばれます(北海道は高等学校文化連盟図書専門部会、青森県と岩手県は高等学校文化連盟文芸専門部会が選考)。さらに各県を代表する「優良賞」作品の中から、昨年12月2日、都内の東京ドームホテルにて開かれた中央選考委員会の席上、8編が「中央入賞」に選定されました。
【中央選考委員】
(敬称略)
辻原 登
(作家)
穂村 弘
(歌人)
角田 光代
(作家)
清原 洋一
(文部科学省初等中等教育局主任視学官)
大池 公紀
(全国高等学校長協会)
【表彰式】 平成27年1月26日(月)午前10時半より、東京ドームホテルにて

各受賞者には【賞】として次の賞品が授与されます。また受賞者、入選者の在学校には「学校賞」が授与されます。
1、文部科学大臣奨励賞
1編  
賞状・楯・記念品
2、全国高等学校長協会賞
2編  
賞状・楯・記念品
3、一ツ橋文芸教育振興会賞
5編  
賞状・楯・記念品
4、優良賞
39編  
賞状・記念品
5、入選
188編  
賞状・記念品
中央入賞者在学校には「学校賞」として、楯および「集英社文庫図書館100冊セット」を贈呈いたします。
優良賞入賞者在学校には「学校賞」として、「集英社文庫50冊セット」を贈呈いたします。
入選入賞者在学校には「学校賞」として、「集英社国語辞典」を贈呈いたします。
【主 催】
公益財団法人一ツ橋文芸教育振興会
【後 援】
文部科学省・全国都道府県教育長協議会・全国高等学校長協会・集英社
北海道新聞社・東奥日報社・岩手日報社・河北新報社・秋田魁新報社・山形新聞社・福島民報社・産経新聞社・上毛新聞社・神奈川新聞社・山梨日日新聞社・信濃毎日新聞社・新潟日報社・北日本新聞社・北國新聞社・福井新聞社・岐阜新聞社・静岡新聞社・中日新聞社・京都新聞・神戸新聞社・山陰中央新報社・山陽新聞社・中国新聞社・徳島新聞社・四國新聞社・愛媛新聞社・高知県教育委員会・高知新聞社・西日本新聞社・佐賀新聞社・長崎新聞社・熊本日日新聞社・大分合同新聞社・宮崎日日新聞社・南日本新聞社・琉球新報社
【地方主催】
北海道高等学校文化連盟図書専門部会・青森県高等学校文化連盟文芸専門部会・岩手県高等学校文化連盟文芸専門部会

中央選考委員と入賞された皆さんで記念撮影
中央選考委員と入賞された皆さんで記念撮影
文部科学大臣奨励賞を授与される小野さん 祝辞を述べられる文部科学省の清原先生
文部科学大臣奨励賞を授与される小野さん 祝辞を述べられる文部科学省の清原先生
中央選考委員を代表して角田先生が講評 表彰式後の激励会で。今回の受賞者の皆さん
中央選考委員を代表して角田先生が講評 表彰式後の激励会で。今回の受賞者の皆さん

中央入賞者

 1、文部科学大臣奨励賞
 長崎県立長崎南高等学校 2年 小野 健 作品を読む
 戦後六十九年の夏に何を思うか
(体験書籍『ホタル帰る—特攻隊員と母トメと娘礼子』赤羽礼子、石井宏著)

 2、全国高等学校長協会賞
 北海道札幌南高等学校 2年 津田智沙 作品を読む
 言葉を砥ぐ
(体験書籍『ポケットに名言を』寺山修司著)

 3、全国高等学校長協会賞
 大分県立大分豊府高等学校 2年 岡田悠花 作品を読む
 白を感じるとき
(体験書籍『白』原研哉著)

 4、一ツ橋文芸教育振興会賞
 宮城県仙台二華高等学校 2年 髙橋実央 作品を読む
 「雑音」がくれるもの
(体験書籍『夜のピクニック』恩田陸著)

 5、一ツ橋文芸教育振興会賞
 三重県 暁高等学校 2年 曽根綾太 作品を読む
 命を賭ける
(体験書籍『山本美香という生き方』山本美香著 日本テレビ編)

 6、一ツ橋文芸教育振興会賞
 鳥取県立境港総合技術高等学校 1年 西村香穂 作品を読む
 笑顔のすばらしさ
(体験書籍『ほしとたんぽぽ』金子みすゞ著)

 7、一ツ橋文芸教育振興会賞
 島根県立松江南高等学校 1年 永瀬紗織 作品を読む
 五体満足
(体験書籍『これがぼくらの五体満足』先天性四肢障害児父母の会編著)

 8、一ツ橋文芸教育振興会賞
 愛媛県立松山南高等学校 2年 髙橋映美 作品を読む
 私のオレンジ
(体験書籍『さようなら、オレンジ』岩城けい著)

  【答辞】

文部科学大臣奨励賞 小野 健
(長崎県立長崎南高等学校 2年)

 2015年、今年、戦後70年を迎えます。私は、新聞部に所属しています。「戦後70年に向けて戦争を語り継ぐ」というテーマで、昨年から取材を続けています。昨年の8月、取材で鹿児島県の知覧特攻平和会館を訪問しました。その事前学習のつもりで読んだのが、『ホタル帰る 特攻隊員と母トメ・娘礼子』です。父が紹介してくれた本でした。
 知覧の特攻基地で軍指定の食堂を営んでいたのがトメさんです。トメさんは、若い特攻隊員たちにとって母親も同然でした。特攻隊員の一人、宮川軍曹は、トメさんに「死んだらホタルになって帰ってくるよ」と言い残して、飛び立っていきます。その日の夜、本当に食堂にホタルが舞い込んで来たというエピソードが題名の由来です。
 みなさんは、特攻隊にどのようなイメージを持っていますか? 小説や映画になってメディアで取り上げられ、若い人たちが熱狂するとき、私は怖さを感じます。自ら志願して命を捨てて日本を守った美談として認識され、特攻隊員の本当の思いが伝えられていないのではないかと感じるのです。また、一時のブームが過ぎると、戦争の歴史は忘れ去られてしまうのではないかと思うのです。新聞部の取材で、トメさんの孫の鳥濱明久さんに取材させていただいたとき、外国のメディアがアメリカ同時多発テロの後に、特攻隊員とテロリストは共通しているとして、明久さんにコメントを求めたと聞きました。私は特攻隊員がテロリストだと考えたこともありません。狂信的なテロリスト集団と特攻隊が一緒だと考えるのは、特攻隊員の本当の思いを知らないからです。特攻隊員は日本が敗れることを覚悟していました。個人の思いと関係なく殺し合いをするのが戦争です。特攻隊員たちは飛び立ちたくなかったのです。死にたくはなかったのです。しかし、死にたくない、出撃したくないとは言えない時代だったのです。せめてホタルになって帰ってくると語った特攻隊員のように、若者たちの表舞台に表れていない本当の思いを伝えるために、トメさんは観音堂の建設を訴え続けたのです。そして、それが昭和62年の特攻平和会館の完成につながりました。真実の姿を風化させず伝えることが、戦争とは何だったのか、私たち一人ひとりが考えることにつながっていきます。
 私は読書体験記の最後に「自ら知りたいという探究心と、知っていなければならないという責任感を持つことが、トメが恐れた風化を防ぐことになり、私が追い求める平和への近道でもあると思う。私はこれから先、なかなか真実の姿を見せない物事に対して、この探究心と責任感を持って取り組む人間になりたいと思う。」と書きました。長崎で被爆した深堀好敏さんに、先月お話をうかがいました。深堀さんが被爆したのは学生の頃です。深堀さんは「あなたたち高校生に聞いてほしい話がある。知ってほしいことがある。私は今でも70年前を生きている。」と訴えます。70年前の若者にも夢や希望がありました。彼らの真実を知ることが、戦争とは何だったのかを知ることにつながります。私たちには、戦争の中で生きた人々の本当の姿を知る責任があるのです。戦争を体験した人々が少なくなってきました。彼らの体験を聞いたり、彼らの体験を書き残したりする最後の時間を、私たちは生きています。ですから、私は、取材を続けようと思います。彼らが後世に伝えようとしたことを読み、聞き、真実の姿を知ろうと思います。
 昨年の夏、本の中の戦争の真実にふれ、平和な世の中のために自分に何ができるのかと怖くなりました。同時に、一つの覚悟を持つことができました。私は、知りたいという探究心と、知らなければならないという責任感を持って生きていこうと思います。最後に、受賞者を代表して、それぞれの読書体験記の完成に向けて支えてくださったみなさん、読書体験記に込めた思いを評価してくださった選考委員会の先生方、私たちに表現の場を用意してくださった一ツ橋文芸教育振興会のみなさまに感謝の思いを表し、答辞といたします。

【事務局より】
 公益財団法人一ツ橋文芸教育振興会は、読書体験記コンクールと並んで、全国の高等学校に作家や文化人、学者の先生を派遣して「高校生のための文化講演会」を行っています。(年間70校以上)講演ご希望の学校がありましたら、コンクールの応募先ないしは後援の各新聞社にご希望をお寄せください。
 

入賞者一覧 選評 応募要項
 
 
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